銀王号、26年目の命日に寄せて「あとがき」のようなもの
今まで「あとがき」的なコメントをすることは控えていたのですが、You Tube版『キミとボク』がやがて公開1周年をむかえ、7月11日は銀王号の命日でもあるし、自分の脳梗塞のこともあるので、書けるうちに忘備録として残しておこうと思います。便宜上、過去の記事やインタビューも交えてたいので、少し長くなりますがお付き合いいただければ幸いです。どうぞよろしくです。「銀王号、26年目の命日に寄せて」。
『キミとボク Ver.2 Final Edition』公開の経緯
2023年に公開開始したYou Tube版『キミとボク Ver.2 Final Edition』公開の経緯は、昨年末のサイト記事「2023年の総括とお礼とご挨拶:『キミとボク』『闘病記』『ネイチャーシリーズ』『脳梗塞発症後の生活』」に記載していますので、以下に抜粋させていただきます。
脳梗塞の後遺症、卒中後うつ病(PSD)や無気力・せん妄、睡眠障害、男性更年期障害等々の疾患に悩まされ、追い詰められながらも、あとで述べる「ある理由」からYou Tubeで『キミとボク』公開することを決めました。
この項はYou Tube版『キミとボク』完成までの道のりです。
まず、前置きとして、少しだけ専門的なことを書いておきます。『キミとボク』は「Flash・フラッシュ」と呼ばれるアニメーションソフトで制作していました。Flashのファイル形式であるswfファイルはYou Tubeには対応していません。そのためYou Tube用に変換する作業が必要でした。『キミとボク』はFlashでスクリプト(プログラム)を組んで動かしていたたため、まずはそのスクリプトを全削除するところから始まりましたが、そこからYou Tubeに公開できるのようになるまで約1年半を要しました。
脳梗塞の後遺症による片麻痺で不自由になった身体で、ファイル形式の変換や手直し、バグの修正等々…脳や身体、集中力の大幅な減退と衰えに驚きつつ、せん妄もあり再学習しようとしてもなかなか頭に入ってこず、それでも「少なくとも『キミとボク』だけはネット上に残るようにしておかなければ」という思い、脳梗塞発症から時間も経っておらず、再発の恐怖に怯えながら「これが私の遺言になるかも知れない」と、片麻痺でしびれた左手を無理矢理動かしながら制作を続けました。(左手が動かないとパソコンのショートカットが使えず作業効率が極端に低下します。)
再び『キミとボク』と向き合うということは、死別した愛猫の銀王号や両親への深い喪失感や焦燥感と向き合う覚悟が必要でした。脳梗塞の後遺症で弱りきったメンタルに、喪失感や焦燥感が襲いかかり、それはそれは辛い日々でしたが、ちぃコロちゃん(妻)に「急がないで納得できるまでじっくりやってから公開すればいいんじゃない?悔いが残らないようにしっかりね。」その言葉に救われ、励まされつつの1年半でした。そしてなにより救われたのは『キミとボク』という物語のラストショットの言葉「またあるきだそう」という約20年前に自らが残したメッセージでした。
死別を経験した人々や深い悲しみの中にいる皆さんのためにも「なんとしても『キミとボク』だけは残しておかないとな。まずは自分がまた歩きださないとな」と強く思いました。それがこの項の冒頭に書いた「ある理由」なのです。
そして、初代『キミとボク』を公開した2001年7月27日から22年後の2023年同日、銀王号の命日から25年後に『キミとボク Ver.2 Final Edition』として公開できました。ありがとう御座いました。私の性格上、公開後にまだ直したい部分がいくつか出てきましたが「まぁそれはいずれ別の機会に別の作品でやればいいかな」という少し先のことを考える気持ちの余裕も、今現在はやっと出てきました。
You Tube版『キミとボク』の完成と公開は、脳梗塞の後遺症で弱気になっていた自分に、生きる気力や「まだ頑張れる」という自信を取り戻し、「またあるきだす」という気持ちを改めることができました。私もまた『キミとボク』という作品に救われた一人なのです。ありがとな銀王号。【抜粋終了】
抜粋元記事:2023年の総括とお礼とご挨拶:『キミとボク』
脳梗塞に関するカテゴリー
脳梗塞とそれに付随する疾患や、その状態から脱出できた経緯詳細は下記カテゴリーをお読みください。
脳梗塞・糖尿病・高血圧・脂質異常症・男性更年期障害や脳梗塞発症後、脳卒中後うつ病(PSD)や睡眠障害に悩まされた記録。自分なりの対象法。この「闘病記」が皆様の人生においてヒントの一つになれば幸いです。
銀王号、26年目の命日に寄せて
「私の一日のはじまり」と「ちぃコロちゃんのこと」
いつも私の寝室の仏壇に置いてある銀王号の写真に目配せしてから一日が始まります(偶に話しかけたり、写真を撫でたりします)。
また、ちぃコロちゃんは、命日などの特別な日や、銀王号の大好きだった「鶏のささ身」を料理に使う日は「鶏のささ身」をお供えしてくれています。ちなみに、ちぃコロちゃんは銀王号に会ったことはないのですが、親しみを込めて「銀ちゃん」と呼んでます。彼女の銀王号のイメージは「ひまわり」だそうで、命日には「ひまわり」もお供えしてくれています。ありがたいことです。
新しい命を迎え入れるお誘いや申し出
過去に何度か「新しい猫を迎え入れるお誘いや申し出」があったのは事実です。有名無名を問わず「このような方々まで心配していてくれたのか?」と驚き、恐縮しましたが、全て丁重にお断りさせていただきました。私にとって銀王号は唯一無二の存在、今も一緒に歩き続けてくれている相棒なのです。それが全てです。
愛するペットと死別して、新たな子を向かいれたり、保護猫を保護したりと愛情を注ぐのはとても尊い行為だと思います。しかし、私は先に述べたように「銀王号は今も私とともに歩き続けている」と現在進行系で信じています。どちらも間違ってなどないと思います。その尊い気持をお互いに大切にすれば良いと思います。
書籍版ギャラリー:小池書院版『キミとボク』より
ここで一旦、ブレイクタイム。小池書院版『キミとボク』より。画像は、本を買っていただいた方のため、フィルターをかけオリジナルから改変しています。小池書院版のみ巻末にイラスト入りのエッセイ「その後のキミとボク」が掲載されています。
この記事アイキャッチ用画像。小池書院版『キミとボク』82-83ページより
書籍版では銀王号との死別後、カーディガンを羽織っています。
そもそも『キミとボク』のテーマとは?
最初の『キミとボク』発表時は随筆・エッセーとして世に送り出した作品でした。いわば自分の身の上話をアニメーションにした感じです。なので、ペットロスがテーマですらありませんでした。下記にII-Access(イイ・アクセス)に掲載された「やまがらしげとロングインタビュー」を下記に抜粋します。
自分にとっての銀王号という存在
(1作目公開から)半年後くらいにいきなりアクセス数が激増しまして、要はブレイクしたようなかたちになりまして…全く知らない方々から膨大な数の感想をもらうようになり、一体全体何事かと…なぜブレイクしたのかよくわからなかったんです(笑)。
好意的、批判的共に予想外の強烈な反応にとまどいまして…しかも、年齢層が広い。当時、プライベートなトラブルで精神的、時間的にも全く余裕がなかった時期が続いていたという理由もあり、満足な対応すら出来ず、こりゃまいったな、と。特に、ペットと暮らしている方々からの反響が特に多く…ああ、よくよく考えると『キミとボク』ってペットロスのお話なんだ…と。
自分にとっての銀王号という存在は同居人というか、友達というか、子分のような認識だったんで、ペットという意識があまりなかったというか…言われてみればペットだったのかと(笑)。
追加されたメッセージ「またあるきだそう」
いずれにせよ、その全ては、Ver.2で追加されたメッセージ「またあるきだそう」という言葉、それに集約されます。
また、最終的にこの言葉は書籍化によって昇華されたと実感しています。かといって成就したわけではありませんが…その言葉自体は永遠に完結しないものだと思いますんで…。
抜粋元:インタビュー記事リンク
以下、抜粋元のインタビュー記事へのリンクです。2009年 書籍版出版の際のインタビュー記事で、まだ映画の話もないころです。当時の心境を赤裸々に話していますので『キミとボク』がお好きな方は一読くださいませ。
メッセージ「またあるきだそう」の真意・誰が発したのか?
作中で誰が「またあるきだそう」の言葉を発したのか?
実写映画版のラストシーンでは、「またあるきだそう」二人で声を合わせていましたが、書籍版『キミとボク』では青年が描いた漫画のラストシーンに、青年が「またあるきだそう」という言葉を書きこんでいます。
つまり、書籍版では青年が一人で、映画版では二人が発した言葉になります。どちらも良いですが、原作では「青年一人で発した言葉」になります。小池書院版では省かれていますが、自費出版した「ピクチャーストーリーブック」では、青年が描いた漫画(という設定)のなかで、銀王号と青年のやりとりの末に、青年が「(ほら、いっしょにいくよ)またあるきだそう」と言っているのです。ちなみに書籍版では、後半、青年が紺色のカーディガンを羽織っており、それを肩にかけているのが書籍・アニメ版共通のラストショットとなっています。この画像は映画版のエンディングでも使っていたので、これまでの『キミとボク』を全部見て頂いた皆様だけが分かる仕掛けになっていましたが、この場で作者から明言しておきます。
書籍版ギャラリー:『キミとボク・ピクチャーストーリーブック』より
『キミとボク・ピクチャーストーリーブック』より。画像は、本を買っていただいた方のため、フィルターをかけオリジナルから改変しています。
青年が描いた設定の漫画。二人のやり取りが描かれています。「ピクチャーストーリーブック」のみの追加ページ。
青年が描いた漫画のラストショット。「またあるきだそう」の手書き文字があります。
『キミとボク・ピクチャーストーリーブック』の在庫販売について
フルカラーの絵本『キミとボク・ピクチャーストーリーブック』の在庫は映画版の公開時に若干数、劇場販売しましたが、まだ少量の在庫がありますので、いずれAmazonかどこかで販売する予定です。
You Tube版『キミとボク』での変更部分
手直し中に、今の時代に沿ったセリフのフェードイン・アウトやシーン切り替えのタイミングや画像の追加等々進めていくうちに、とある部分で直したいセリフが出てきました。演出やビジュアル的なアップデートは必要だと感じていましたが、良質な作品作りのためとはいえ、ストーリーの核心に触れるようなセリフの変更してしまえば別の作品になってしまうのではないか?と葛藤しました。
ちぃコロちゃんの言葉
ちぃコロちゃんにその悩みを相談したところ「銀ちゃんはそのままのあなたを応援してくれているんだよ。変えるべきではないと思う。」という一言に思い止まり、オリジナルのままの『キミとボク』をお届けすることができました。今では変えなくて良かったと思っています。どのシーンのセリフかは?いずれまたの機会に。
今後のURSユニットのこと:新しい展開
新連載と今後の予定
「やまがらしげと」と「ヤマガラチハル」のセットを「URSユニット」としていますが、現在、二人はYou Tubeで新しい連載を始めるべく準備しています。You Tube版「URS・ネイチャーシリーズ」を終えてから、ずっと準備しているのですが、もう少し時間を要します。遅くても2024年内には間に合わせます!!頑張ります!告知は、当WebサイトやFacebook、Instagram、X、等々各SNSでも行こないますのでどうぞ宜しくです。
その後の展望『キミとボク』関連や残された作品『ココトワ』『十人桃太郎』まで生きてれば御の字ですかな…💦💦💦
また、II-Access(イイ・アクセス)に掲載された「やまがらしげとロングインタビュー」も改めて読んで、やる気に満ち溢れていたころの自分を思い出しました!記事を残しておいてくれて感謝です!
「銀王号、26年目の命日に寄せて」ご高覧感謝!